価値創造企業を目指す
『社会貢献』

低成長時代に入り消費の絶対数が縮小していく時代に、
スーパーマーケット事業に於いて売上額は周りから、
異業種、あるいは他業態からその市場を侵食され、
益々事業運営状態は、
過去50年来に無い変化を求められる、
時期が到来しているように感じています。

食品販売事業運営につきましては、
粗利額から捻出する販売一般管理費も、
消費の縮小に反比例するように増大をして来ています。

一例を挙げると、
1億円の売上額で粗利率25%とすると、
粗利額は2,500万円になります。
その売上額の為の販売一般管理費額率(設備償却額含む)を21%とし、
営業外損益額を仮に0とすると、
経常利益率は4%になり、
その額は400万円となります。

しかしながら人件費、光熱費をはじめ諸費用は上昇傾向にあります。
販売一般管理費額が10%上昇すると、
その率は21%から23.1%に上昇します。
そうすると、4%あった経常利益率は1.9%と半減してしまいます。

売上額・粗利額・率、つまり入ってくる額は何も変わっていないのに、
出ていく額が僅か10%上昇するだけで、
事業の生命線である経常利益額は半減してしまう事になります。
そこに借入金利の上昇も見込まれるとなると、
定期的リニューアル・新店舗出店等の資金調達・返済は、
投資に対する収益見通しが細くなってしまう状況です。

社会経済的には失われた30年という表現をしていますが、
私たちはでは貧しくなったかというと、
そのような実感もまた、決して一般的ではないように思われます。
価格を安くしても、
数が売れる訳ではないとなると、そう思わざるを得ません。

それぞれの家庭の事情に即した商品が、
必要量売れるだけという事じゃないでしょうか。

そのような前提を考慮すると、
商品価値以外の価値を企業に付加することが、
いくつかある集客ポイントのひとつと成り得るのではないかと考えています。

それが 『地域社会貢献』 であり、
地元企業として得意な分野ではないかと思います。
そしてこのポイントは、
冒頭のスーパーマーケット事業の市場を侵食してくる、
他産業競合先には出来ない事だと考えている次第です。

ひとつ 『社会貢献』 が如何に企業価値を上げるかの例を示すと、
今ホットな話題にMLBの大谷翔平選手が、
日本の全国2万の小学校に、野球のグローブを贈呈したことが上げられます。
その事で、彼の野球技術が高まる訳ではありませんが、
彼のCMタレントとしての価値は上がり、
スポンサー契約料は跳ね上がりました。
彼の価値が野球技術に留まらず、
人間性を高く評価され、
その事が彼の商品価値を上げた事になります。
大谷翔平は個人事業主ですが、
これが法人企業に当てはめれば、容易に想像がつくと思います。

『営業活動』

私たちは、スーパーマーケットさんに於いて、
弊社商材が売れれば万事OKという考え方ではなく、
あくまでその企業さんの売場が賑わうことを、
『営業諸活動』 の目的としています。

と申しますのも、
私どもの商材は市場間取引には無い、
ある意味高品質の青果類・精肉類を扱っておりますが、
それらの商品群のマーケットシェアは、
全体の30%が実際に存在していると、
過去実績に於いて証明されています。

弊社の営業数値目標はその30%の中の33%に過ぎません。
全体では10%という事になりますが、
それが実現できれば残りの20%は、
私どもの10%の商品を見て売り込みに来られる、
他企業さんの同様ランク商材分です。
当然後から来られる商材は価格ダウンして入って来られるので、
値入率を取りやすくなります。
但し、これは、あくまで同レベルの品質が前提です。

しかしながら、
売上構成比30%の商材で売場全体が潤う訳はなく、
残りの70%が当然業績には影響が大きい訳です。

また、私たち30%の商材は、
残りの70%の商材によって支えられていると言っても過言ではありません。
この70%の商材の品質が良く、
その価値を表す価格で販売し、
しかもその中で25%~30%の粗利率を実現しようと考えれば、
バイヤーだけではなく、私どもベンダーも一緒になり、
PDCAを回しながら、卒なく粗利額を作る必要があります。
その意味で、
売先と仕入先の通常では利害が対立する関係から、
一緒に思考し、粗利を創造して分配する関係作りが、
『営業活動』 だと捉えています。

自由市場・資本主義経済の原則に、
Conflicts of interests (利害相反するものの原則) があります。
しかしこれは欧米の思想に基づくものであり、
我が国では、共有し分配することこそが基本原則で、
ビジネスは強くなると感じています。
その為には、規制の形式を見直して、再構築する必要を感じています。

『PDCA・OODAサイクルをまわす』

商品で更なる集客するためには、
先ずは品揃えが第一だと考えています。

ユーザーが欲しい商材が、
欲しい形で、いつであるという状態が、
品揃えだと捉えています。

例えば、秋には冬の鍋商材が売りになります。
鍋といえば白菜ですが、
少し古いですが、
話題のオレンジ白菜が置いてあるかどうかだけではなく、
1個丸ごとの白菜がデーンとあり、
ユーザーの目を引くことから始まり、
でも欲しいのは1/2玉ではなく、1/4玉の場合、
そんな細部にわたってまでSKUの数を読み切れるものではありません。
では何でカバーするかという事になりますが、
そこでPDCAが回るかどうかだと思います。

旬の食材のスタート時期であれば、データはあっても1年前のデータです。
先ずはそのデータを頼りに品揃えをしても、
動きはいろんな要素で全く違う動きをします。

そうなれば、その時期は今年のデータを、
2時間単位で作る必要があります。

でなければ、機会ロスはデータとして不充分になり、
次に活かすことが出来ません。
すべての商材で、こんなことをするのは費用対効果の無駄になります。
そこで先の旬の食材のスタート時期に、
MDとして、注目商材を管理し、
修正行動可能な品目数に絞って、売り場管理をします。

とにかく売り場に潤沢に品揃えされているように、
品出しを小まめにチェックする必要があります。
開店から2時間のSKU別のPI値データは、
機会ロス無しで取らなければならないことが分かります。
その2時間のPI値をレジデータから集めれば、
午後からの来店人数と掛け合わせれば、
1/2の数と1/4の数は、見当外れにはなりませんので、
今度は1日のPI値データが取れます。

そこに変数である、天候を変数として入れれば、
後は曜日別、来店指数等で販売数予測は立ちます。

では、これらの事を企業で組み立てる場合に、
あくまでこれは各店での話しとなり、
商品部のバイヤーの話しではなくなります。
商品部バイヤーは適切な品質の商材を仕入、
各店に供給し、値入計画までを立案するだけで、
その値入計画による差益を粗利額として最大化する為には、
各店長が自店を主導することが肝要で、
その方が一般販売管理費を活かすことが出来ます。
その意味で、これからの時代は商品部が値入の計画を作り、
店長が計画以上の粗利額を作ることが望ましいのではないでしょうか。

さて、ここまでは、店舗単位で行われる 『改善』 の領域で、
言ってみれば 『売れて儲かる商品』 で成果を上げる事が可能です。

しかし、時代はこの30年間で大きく変わっています。
30年間は、子世代がそっくり親世代と入れ替わるという年月です。
スーパーマーケットの新店誕生の、
『創成期』『成長期』『成熟期』『衰退期』 と分けますと、
ちょうど創成期の店舗が衰退期に入る期間かと思われます。

つまりそのように考えると、
スーパーマーケットが、
地域社会から求められる役割自体が、大きく変わっていて当然です。

スーパーマーケットの創成期の60年前は、
働く女性の比率は低く、
その役わりは家事をこなし、
少しでも家計を助ける為に安い商材を求めて、
新聞折り込みに掲げられるチラシを見て、買い物に出かける図式でした。

しかしながら、現在の女性就業率は男性のそれに匹敵し、
家計を助ける概念から、
家計を男性と一緒に形成するところにまで進んでいます。

その事は、店舗の営業時間を見れば明らかなように思います。
朝8時から夜10時まで営業する意味は、
それらを反映しているのでないでしょうか。
では、それほど変化している社会状況に対して、
小売業態を最適化させる必要が問われるのも無理はありません。

適合したスタイルを見出さない限り、
後発の小売業態に、その市場を侵食される事になります。
つまり 『改善』 の枠を超えて、
過去の成功事例の上に、
更に時代にマッチした価値基準を、
企業に取り込む必要性が求められていると思えるのです。

そのように捉えれば、
現在提唱されているビジネス推進手法 『OODA』 の導入が、
その助けになるのではないでしょうか。

漠然と 『変わった』 と捉えるのではなく、
一歩進めて 『何が』『どのように』 に代わっているのか、
客観的に観察をして、
そのデータを集め分類毎に整理する 『Observe』、

その分類を構造的に並べ直し、
分析し、未来予測の仮説を立てる 『Orient』、

その仮説を基に課題解決の優先順位を協議し、
何と何から実行に移すかを決定する 『Decide』、

後は行動を起こし実践する 『Act』 が、
ここではその結果の判断に至る期間を、
意思決定の範囲に加えておく必要を感じます。

冒頭に掲げた 『社会貢献』 に対する要望は、
未だ顕在化していないように見えますが、
実際にそれを企業として示すと、
『賛同』 を得られる事は既成事実となっていて、
その実践企業に経済的数値として現れています。
気を付けたいポイントは 『社会的義務・責任』 ではなく、
あくまでもっと積極的な 『貢献』 だと思えます。


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